絵の世界にいると、“個性”についての
様々な意見に出合いますが、
“どれくらい個性を味わえる”かどうかは
人間的成熟の度合いと比例する、と
私は考えるようになっています。
何故この点を強調するかというと、
巷にあふれる個性論議のほとんどは、
“わかり易い個性”についてである場合が
非常に多いと思うのです。
そうなった理由について語れば、
コピーとオリジナルの価値の問題や、
消費社会の新鮮な刺激としての需要と
結びついたなど、色々ありますが、
人間に対する洞察の浅い方の価値観が
一因である場合も多い気がします。
エキセントリックな個性などというものは
『個性』のほんの一部分に過ぎません。
一見地味で、平凡に見える人の中に
渋く光る個性を互いに見出し味わえる
社会であってこそ、文化的に成熟して
いるといえるのではないかと思います。 |
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